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2016年12月24日

仕込み水の元

時々ですが、興味を引く研究が掲載されていると、
熟読してしまうのが、これ。
仕込み水の元


『日本醸造協会誌』。

仕込み水の『ドイツ硬度』『日本酒度』『酸度』今回は12月号。802から805ページ!

仕込み水の元

どんな地形のどのような地質のなど、
全国に分布する酒蔵をサンプルに、グラフや地図作表で掲載されており、
あまり頓着しないわたくしでも、興味深く読むことができた。

仕込み水の元
更に、ではうちの仕込み水の状況はと思い、PCでネットサーフィンを!


『地質調査所研究資料集』NO.90

有田付近の玻璃質岩概査報告


内容紹介
地質調査は1960年11月の行われた。
佐賀県有田町付近の地質は第三紀層及びこれを貫く第四紀層の凝灰角礫岩、流紋岩、黒雲母流紋岩から成る。

玻璃質岩は凝灰角礫岩と流紋岩との接触部が急冷して生じた黒曜岩と黒雲母流紋岩の周辺部に伴う松脂岩質の2種がある。
黒曜質の鉱石は中野鉱床で厚さ40m以上に達し、ビール瓶など下級ガラスの原料として利用される。

松脂岩質のものは猿川鉱床と英(はなぶさ)山鉱床に産し、猿川では厚さ10m鉱量は3万トン程度、
英山では約3千トンがそれぞれ予想される。玻璃質岩の化学分析及び発泡試験を佐賀県窯業試験場中橋建雄氏が行い
結果が本文及び付録に揚げられている。
 



とあった。




また、上に出てくる岩の名を検索すると
それぞれは、
火山活動に由来しており、礫岩は直径2㎜以上の火山礫からなるものの間を粘土や砂で埋めていたり、
凝灰岩は、直径4㎜以下の火山灰の凝固、
流紋岩は、火山岩で組織的に花崗岩と同じだがガラス状の石基があり
火山の溶岩が流れて固まった形跡が模様となっている白か淡褐色が多く赤黄を帯びているものもある。


で、また熟読していた協会誌のグラフに目をやると
新第3紀火山岩の分布地質に現存する酒蔵件数は多くなく、
有田の地質調査による第三紀層から第四紀層を貫く地層分布を持つ場所にある有田の蔵である
我が蔵『宮の松』はサンプルから得られた情報以外であり、
しかも含む要素は抑えている。


更に、別のグラフにある仕込み水の出現形態の種類別件数の中で
相当する状況は、伏流水(山地~盆地)という位置付ではなかろうかと思う。


だとするとサンプル蔵の数としては、
鍾乳洞の次に少ない蔵数に入るのだ。

次に
ドイツ硬度の作表を見ると、
新三紀火山岩の欄には、長野
第四紀火山噴出物の地質には磐梯山山麓
第四紀完申新世堆積物には秋田
新第三紀堆積岩の区分には秋田、山形、新潟

と酒の美味しい銘醸蔵も多い東北エリアがほとんどである。

有田の第三紀第四紀層が詳しくは上に揚げた地質のいずれに近いかは
専門でもないので知りえる範疇にないが、
どう転んでも3以下の軟水。

グラフの分布に少ない地質を流れて天然濾過された水を、
原料にできている強みは、他の土地には獲得できない武器だと考察してみた。


グラフのの背の高くない方に属することの特質は得難いことでもあるのだ。
有り難いことこの上ない。


これに、杜氏と蔵のみんなのチームワークが醸し出す、
静かなエネルギーに満ちた日本酒は、ここ有田の水のように、
皆様の体に心地よく入っていく美しいものであり続けたい。


しかし、

物産を特産にできる水のことを行政も、生産者任せではなく、
生産者に研究を持ち込むくらいけしかけてくれるくらい
迫力があると燃えるのに!

酒屋嫁は明日もあるので、酒の夢でも見ながら寝ます!


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Posted by ままごと at 22:15│Comments(0)宮の松酒だより
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